2016年11月23日

イライラや不眠に効果がある抑肝散

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漢方薬は、しばしば西洋医学との対比で使われますが、日本で独自に発展した漢方医学に基づいて処方されるお薬です。西洋医学が、その症状のみを改善することを目的とするのに対して、漢方医学は、体全体を診ることに特徴があります。漢方の2000年の歴史によって積み上げられたデータと、患者の体力や気力の有無、歪みや偏りから判断して、お薬が決まります。お薬は、有効成分の異なる複数の生薬をブレンドして処方されます。例えば、イライラして眠れない時に、普通の病院では睡眠薬や精神安定剤が処方されるでしょう。

これが漢方医学だと、患者の体質にもよりますが、抑肝散という漢方薬が処方される時があります。抑肝散は、虚弱な体質や、細見な体系の方で、興奮しやすく怒りっぽいことなどによる諸症状が起きているときに処方されます。イライラ、不眠、痙攣、情緒不安定、自律神経失調症、更年期障害などに効果があるといわれています。また中枢神経系に直接働きかけ、セロトニンの分泌量を増やしたり、安定化させるので、セロトニンの量が少ないうつ病などにも処方されます。

また最近の研究だと、アルツファイマー型の認知症患者の、徘徊や暴力、妄想にも効果があるといわれ、大変注目を浴びています。これは大阪大学の研究によりますと、脳の神経細胞死を抑肝散が防げるからだということです。また子供に対しても、疳の虫、夜泣き、神経過敏などにも用いられ、適用範囲が広いことが特徴です。